去年から流行っている言葉として『Normcore(ノームコア)』というものがあるらしい。
私はここ最近知った言葉だが、具体的な意味としては
「Norme(標準)」+「Core(核)」という造語。
Coreという英語の意味は、中心とか核になるもの等が挙げられる。
ここでいうところのCoreという言葉は、かなり強い意味をもつ。
このノームコアという言葉はつまり
『究極の普通』
を目指したスタイルを指す言葉だ。
ここで疑問になるのが、究極の普通って何?ってこと。
その辺にあるいている普通のおっさんを指さして「究極のノームコア!おしゃれじゃん!!」とはならないはず。
じゃあノームコアとはどんなスタイルを指すのか?
私なりに考えてみた。
『普通』の定義は人それぞれ
『究極の普通』とはどんなファッションを指すのだろうか?
そもそも『普通』の定義自体が難しい。ファッションが好きな人が言う『普通』と、特に興味も無い人が言う『普通』には天と地ほどの差があるのは言うまでもない。
当然ノームコアという言葉が指すものは、前者であるファッションをある程度分かっている人が取り入れる『普通』の恰好ということになる。
今までに色んなスタイルを試してきたファッション熟練者こそ、このノームコアを正しく理解・取り入れることが出来る。
ファッション初心者が流行に乗っかって、中途半端に取り入れようとすると痛い目を見るだけだと思う。
『普通』という言葉を使わずに『シンプル』と表現した方がしっくりハマるんじゃないかな。
なぜノームコアなのか?
ファッション好きな人間に共通することだと思うが、ファッションに気を遣うこと自体がかなり『疲れる』こと。
朝一に自分の思ったようにコーディネートが決まらないことで、一日中嫌な気分になってしまったり、誰よりも先駆けて新しいものを取り入れようと躍起になったり。
その逆で、流行に置いて行かれないように人気のブランドを身に着けてみたりする。
この行為のいずれもが、とにかく人を疲れさせてしまうのだ。
最近流行のアスレジャーも同じような流れで人気が出たんだと思う。
つまりファッション好きだけど、流行を追うことに疲れた人達が『もっと楽な恰好でよくない?』と開き直ったことがきっかけなんじゃないかな。
この流行を追うことに疲れたというのが大きなポイントで、知名度あるブランド物を持っていることや、恰好良くキメること自体の価値観が崩れたような気がする。
今までのお手本のようなスタイル、例えばジャケットにはスラックス(ちと古い)とか、アメカジに必要なのはデニムというようなスタイリングの『教科書』自体が無くなってきてる。
ジャケットにスウェットパンツ、スウェットパンツにドレスシューズなど、今まででは『ダサイ』『ありえない』の一言で終わってしまうようなスタイルが、オシャレなものとなってしまった。
今の時代は、ブランドどうこうという『外見的な個性』よりも自分の『内面的な個性』が重視される時代になったんだと感じる。
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ノームコアスタイル
ここからは、具体的に私が『普通』だと思うノームコアスタイルを紹介させていただこう。
これはただの『普通』というわけでは無く、オシャレだと思うバランスを兼ねた『普通』だということは言うまでもない。
Tシャツ×サンダル
私が思うノームコアスタイルというのは、肩肘張らず自然体でいるスタイルと捉えることにした。
そう考えると、少しユルいサイズのTシャツに足元はサンダルというシンプルさは、ノームコアの代表スタイルと言えるのではないだろうか?
そのユルさの中にも、全体で見たサイジングの絶妙さはとても個性的で光るものがある。ただの普通ではないのがミソなのだ。
ロングスカート×スニーカー
この何とも言えない中途半端なスカート丈に、ちょっとダサイ靴下なんてユルさの極みみたいなもの。
それでもトータルで違和感なくオシャレに見えてしまうのは、それぞれのアイテムのサイジングによるところが大きい。
無地Tシャツの着丈は短めをチョイスしていることで、ロングスカートとの良いバランスを保てているし、スニーカーも流行のアディダスを履いているあたりが隙無しと言える。
着ている人の性格が表れるような、見事な『普通』を表現出来ていると思う。
ワントーン
トップスからつま先まで、オールホワイトでコーディネートした『ワントーンコーデ』はノームコアというよりも、かなり計算されたものを感じる。
ここまでシンプルな色使い自体に、かなりのセンスを感じるし、ある程度の見識が無ければこのようなコーディネートは出来ないだろう。
センス良くノームコアという流行に乗ったファッショニスタがするコーディネートの代表がこのスタイルだと言えるだろう。
デニム×サンダル
シャツワンピースに少しユルめのデニムをコーデする女性。
自然体のユルイコーディネートながら、デニムの丈だったりシャツワンピの着こなしは、自分の個性がしっかりと感じ取れるものになっている。
カラーコーディネートで見てもシャツとサンダルのカラーは元より、デニムの色合いともマッチした随所にセンスを感じる事が出来るコーディネートだ。
ホワイトTシャツ×ブラックパンツ
無地のTシャツは着丈長めのユルイ感じ。
パンツは黒をチョイスし、足元にはホワイトのスニーカーを合わせたモノトーンコーディネート。
本人のキャラクターが活きたスタイリングとして、やはり『シンプル』なところが大きいと思う。
2トーンで抑えたところとサイジングが上手いところが肝となってる。
『普通』を着こなすというのは、想像以上に難しいことだと改めて感じてしまうコーデだった。
スウェットワンピ×チェックパンツ
ここまで紹介してきて思うのは、ノームコアが示すシンプルな装いにはモノトーンが多いこと。
ホワイトのスウェット素材のワンピースに、チェックパンツを合わせたシンプルスタイルは、白基調なところと素材にスウェットを持ってきたところにユルさを感じる。
ワンピとスニーカーはホワイトで統一し、全体の印象をスッキリと見せる事に成功している。
メガネを使って少しナードな雰囲気を出しているところも、計算され尽くしたノームコアなセンスを感じてしまった。
まとめ
『普通』を定義することは難しい。
というよりも無理な話だ。
あまりにも主観に頼り過ぎてしまう。
ことファッションにおける『普通』がどのレベルを指すのかは人それぞれ。
ノームコアとは、ファッションに疲れた人々が己を解放するために、より自由を目指した先に『普通』があったということか。
言い換えれば、色々なスタイルを試した挙句に疲れ果てて辿り着いた先にあったものが、究極の『シンプル』だったという結論ではないかと思う。
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