巷ではブルゾンが流行っているようだが、そもそもブルゾンとは何を言うのだろう?
私の勝手な認識の中では『ジャンパー』をカッコ良く表現したもの、ジーパンをデニムと呼ぶのと同じ認識でいた。
実際にブルゾンの定義を正確に理解している人がどれだけいるだろうか。
自分の理解を深める意味も込めて、ブルゾンについて取り上げてみたいと思う。
ブルゾンとは
ブルゾン(blouson)は、腰や裾を紐やベルトで絞ることで、背中にふくらみを持たせた上着のことを言う。
英語ではジャンパー(Jumper)と呼ばれるが、「ジャンパー」はイギリスではセーターを指す。by FASHION PRESS
ブルゾンの語源はフランス語の “blouson”から来ている、特徴として着丈の短い上着のことを総称しているのだ。
シルエットは比較的ゆったりしたものが多く、防寒性確保のために腰・裾などに絞りが入ったものになっている。
デザイン的にはファスナーのものが多く出回っているが、ボタン式のものも見られる。
アパレル用語はとにかくややこしいものが多い。
とりわけ、ブルゾンやらジャンパーやら、ひどいものにはブルゾンジャンパーなんて組み合わせているショップなんかもあった。
実際のところ、呼び方なんてどうでもいいのかもしれないな。
ブルゾンの代表作
ハリントンジャケット
ブルゾンと言えばイギリスのバラクータ社と呼べる位にメジャーな存在。
イギリスで1948年に製造されたゴルフジャケットモデル9がブルゾンの原型と呼べる。
英国軍で採用していたジャンパーをベースに作ったゴルフウェアが、後のブルゾンの原型になっているのだ。
現在このハリントンジャケットは、各社から発売されておりバラクータ社の独占モデルというわけでは無い。
トリズラー
アメリカはマクレガー社の『トリズラー』は、ゴルフ用ジャケットを主の目的として作られてはいるが、スポーツ観戦や釣りなどのアウトドア他、多目的な用途で使われることを想定して作られた。
映画『理由なき反抗』の主人公ジェームズ・ディーンが着ていた赤いブルゾンがあまりにも有名と言うことだったが、実際に着ていたのは同マクレガー社の『ナイロンアンチフリース』とのこと・・・
ゴルフジャケットを基にしているところは、バラクータ社と同様だしデザインも似たような造りになっている。
スウィングトップ
1960年に日本で爆発的なアイビーブームを巻き起こしたヴァンジャケット社(日本の企業)が発売したのが『スウィングトップ』である。
アイビーという言葉は、ニューイングランド風のファッションを日本で取り入れる際に、アメリカのアイビーリーグにちなんで名付けられた言葉である。
このスウィングトップという言葉自体が和製英語で、ゴルフのスウィングから取った名称である。
全盛期はVANの紙袋を持っているだけで「洒落者」と言われていた位、人気のあったブランドなのだ。
現在は、このスウィングトップという言葉自体が、これら2つのブルゾンを包括する呼び名へと変貌し「ハリントンジャケット」「トリズラー」はスウィングトップの括りの中に入れられてしまった印象を受ける。
これはあくまで日本だけの話ね。
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現在におけるブルゾンの着こなし
ここまで調べておきながら薄々感じてしまったのは、現代におけるブルゾンの定義は非常に曖昧極まりないということ。
素材にしても、レザー・デニム・コットン・ウールなど、MA-1などのフライトジャケットやスタジャンだってブルゾンの一部に入ってもおかしくない。
この際括りにこだわるのは止めて、コーディネートとしてどんなものがあるのかを見ていくことにしよう。
デニムシャツ
ネイビーのブルゾンは、比較的薄手のシャツに近いデザインのモノ。
インナーのデニムシャツとの相性は文句ないし、合わせやすい。
パンツをスウェットにすることで、外しにもなる。
現在のブルゾンは「ゆったり目」という部分が少しぼやけてきてるのが良く分かる。
明るい色のTシャツ
昔ながらのブルゾンと同様に見えるが、やはりソリッドなデザインに切り替わっている。
エポーレットが付いているところからも、どちらかと言えばアーミーブルゾンと言ってもいいのかもしれない。
ワンウォッシュのデニムで上下をネイビーで統一しながらも、インナーにピンクを持って来ることでワンポイントになっている。
お手本のようなコーディネートだ。
ボアデニムブルゾン
普通のデニムジャケットとは違い、内側にボアが敷き詰められているため冬場は非常に温かい。
そしてカジュアルな着こなしの中でも、その合わせ易さはデニム素材ならではと言えるかもしれない。
チェックシャツやロンTなどに、コーデュロイパンツなんかが一番ベーシックな装いと言える。
レディースコーデ
メンズはどうしても見慣れている分、レディースコーデに目が行ってしまう。
とりわけMA-1を代表するフライトジャケットを合わせる女性も多く、ブルゾン自体の着こなしはレディースの方が面白いかもしれないね。
MA-1(ブラック)
去年より女性の間でも、フライトジャケットをコーデに取り入れる女性を見るようになった。
流行とは凄まじいもので、去年流行ったかとおもったら今年は街中がMA-1だらけの様子。こんなに影響を受けるのは本当に日本人だけ・・・
なんて言ってもしょうがないが、女性はタイトなデザインのMA-1が多く、シルエットが今までのブルゾンにはない新しさが新鮮に見えるのか。
カーキを着る人が多いので、ブラックで全身タイトでシャープに見せるのが大人な雰囲気が出ていいのではないだろうか。
MA-1(カーキ)
アースカラーが取り入れやすいからか、MA-1でもカーキを着る女性が多い。
今年だったらミモレ丈のような中途半端丈で合わせる女性が急増したが、敢えて普通にデニムとコーデするのが新鮮かも。
これはマニッシュに感じられる効果なのか、シンプルで好感が持てる。
普段スカートが多い人、がパンツにMA-1とTシャツなんて恰好だったら一目惚れしてしまうかもしれない。
デニムにTシャツ、MA-1のみのような潔くシンプルなコーデが一目置かれるのでは?
レザーブルゾン
レザーもジャケットと呼ばれたり、ブルゾンと呼ばれたり慌ただしいね。
黒中心のモードな装いにレザーブルゾンはピッタリのアイテムだ。
特に今年のミモレ丈スカートは、ちょっと地味な印象が強いのでレザーの力を使ってトータルで見せると、雰囲気はまったく異なる。
足元はヒールでも良いんだけど、カチッとし過ぎずスリッポン位を合わせた方がハードさとのバランスが取れると思う。
ワークブルゾン
ワークブルゾンもMA-1とどうように、アースカラーなので合わせやすさは抜群と言える。
ガウチョパンツと合わせて履けば、今っぽい印象を与えるだろうし普通にデニムでも、スラックスでも合わせることは簡単だ。
コーデュロイボアジャケット
冬のメイン素材であるコーデュロイブルゾンについては、メンズコーディネートの中のボアデニムブルゾンと同様の存在だ。
カラーとしては、暗いトーンのものよりはライトピンクやライトベージュなどを合わせてみれば、女性らしさも保ててフワっとした印象を与えることが出来る。
一昔前だったら、ただの『おっさんの象徴』でしかなかったボアジャケットも、女性らしいシルエットを取り入れるだけでそれなりに見えるから不思議なもんだ。
スウィングトップ
今回紹介したブルゾンの中でも、元祖ブルゾンと呼べるのがこのスウィングトップになる。
おっさんジャンパーも女性のコーデ力に掛かれば、ここまで現代的に昇華されるわけだからファッションの面白さを実感させられる。
ブルゾンのカラーをブラックに、フェイクレザーのプリーツスカートを合わせれば、現代的なアイビーテイストを取り入れたスタイルとして復活する。
昔のような野暮ったいシルエットではなく、タイトにするだけで見え方は全く変わってしまうのだ。
足元はヒールやパンプスを合わせるよりも、オールスターなどのスニーカーで外してしまう方が、トータルバランスが上手く取れると感じた。
まとめ
街はブルゾンで溢れているといっても良い状態、特に今年のMA-1旋風はいつまで続くのか?
来年あたりは、スウィングトップがよりレディースラインにも増えて来そうな予感を感じる。
オヤジ靴の次には、オヤジブルゾンが復活しそうな感じを受けた。
昔のおじさん御用達アイテムが次々に脚光を浴びる今、そのムーブメントはまだまだ継続していくと予想出来るだろう。
来年まで待たずとも、今年の春先にはバラクータやマクレガーのショップ別注モデルを着こなす女性が街に溢れているかもしれない。
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